小学校では高学年になればなるほど漢字が難しくなって、覚えられない、覚えにくい漢字が増えてきます。
しかし、ミチムラ式で漢字学習に取り組むと高学年の漢字学習がとても簡単になります。その理由と教え方のポイントを簡単にまとめました。
目次
高学年の漢字テスト平均点は60点台
小学校では、年度末にその学年で習った漢字の習得状況を把握するためのテストが行われます。
その結果を見てみると、1年生や2年生のときはクラスの平均点は90点台が当たり前でも、学年が進むにつれて平均点はみるみる下がり、5年生や6年生ではクラスの平均点が60点台まで落ち込んでしまうのが普通です。
つまり、高学年で95点以上をとるような子どもはクラスに一人か二人しかおらず、クラスにいる半数の子どもたちが漢字をきちんと覚えられていない、あまり書けていないのが現実です。
4年生以上で間違えやすい漢字、覚えられない漢字
ミチムラ式漢字学習法では、基本漢字と部品(パーツ)、カタカナが書ければ、あとは部品の組み合わせで中学校までに習うすべての常用漢字を簡単に覚えられるように工夫しています。
4年生以上で間違えやすい漢字の具体例を挙げてみましょう。
線が1本多い、少ないで間違えるのは漢字学習のあるあるです。
基本的に漢字は線の構成なので、手本を見ながら線を1本ずつ書き足していくような書き練習をしていると、その場では書けてもいざテストになったときは線が2本だったか3本だったか、わからなくなってしまいます。
右下の部分(十)で線を一本多く書いてしまう子どもが多いです。
手本を見て書き写したり、一字を丸ごとかたまりで覚えようとするとごちゃごちゃして覚えるのが難しいです。
「辞」を部品に分解すると「千、口、立、十」です。これらは全て1年生の漢字なので、単漢字ならほとんどの子どもが書けます。
そこで書き方を覚えるときにミチムラ式漢字カードの通りに「千(せん)、口(くち)、立(たつ)、十(じゅう)」と唱えて覚えれば間違えません。
右下の部分を1本少なく書いてしまう子どもが多いです。
「達」の右下は「羊」です。「羊」は3年生で習う字ですが、不思議と多くの子どもが書ける字です。左右対称なので書きやすいのかもしれません。
ミチムラ式漢字カードには、「つち、ひつじ、しんにょう」と書いていますが、手本を見て書き写しているだけでは「達」の右下を「羊」と認識できないので、テストでは1本少ない「羊」を書いてしまいます。
右下の部分を1本少なく書いてしまうのは、2年生で習う「南」にある1本少ない「羊」と混乱している、またはしんにょう以外の部分を同じく3年生で習う「幸」だと思い込んでいます。
しかし、1本少ない「羊」が使われているのは、全常用漢字のなかで「南」と「幸」の2字しかありません。
5年生で「報」が出てきますが、これも右側は「幸」です。さらに中学校では「献」「摯」「執」が出てきますが、いずれも「南」と「幸」です。
つまり「1本少ない羊」が使われるのは「南」と「幸」の2字だけで、あとはすべて「羊」。そうインプットすれば子どもが覚えやすくなると思いませんか?
ミチムラ式漢字カードでは、「南」と「幸」で下のように示し、インプットしやすいように部品カードも用意しています。
道村静江
5年生で習う「護」は画数が多く、とくに右側がごちゃごちゃしています。そのため、漢字テストではほとんどの子どもが書けません。
ミチムラ式漢字カードでは、「ごんべん、くさかんむり、ふるとり、また」と示しています。
覚えるときのポイントは「ふるとり・隹」です。多くの人が知らない部品ですが、多くの漢字にとてもよく使われている部品です。
最初に「ふるとり・隹」が出てくるのは、2年生で習う「曜」です。3年生の「集」「進」にも使われています。「曜」は学校などで日常的に目にしている漢字なので、子どもたちはすぐに「ふるとり・隹」を認識できます。
「隹」のカタチを「ふるとり」と覚えておけば、「護」は「ごんべん、くさかんむり、ふるとり、また」で簡単に覚えられるし、書くときも間違えません。
道村静江
「護」と同じように、4年生で習う「観」も横線が多くてごちゃごちゃしています。漢字テストでもほとんどの子どもが書けません。
しかし、「観」にも「ふるとり・隹」が使われていることに気づくでしょうか? 子どもはもちろん、先生も大人も気がついていません。ちょっとカタチが違うので、難しいかもしれませんね。
ミチムラ式漢字カードでは、「ノ・ニ、ふるとり 合体、みる」です。
ポイントは、「ノ・ニ」 と「ふるとり・隹」を合体させていることです。「ふるとり・隹」の1画目に書く「ノ」が上に伸びて、「ノ・ニ」の部分と合体しているように見えませんか?
これで子どもたちの頭はスッキリ。「観客のカン、ノ・ニ、ふるとり 合体、みる」と何度か唱えてから書くと、すぐ書けるようになるし、子どもたちは漢字テストでもきちんと書けるようになっています。
高学年で習う字のほとんどは1~3年生の組み合わせ
高学年の漢字テスト平均点は60点台と冒頭で書きました。しかし、60点台にいる子どもたちの多くはすぐに復活できます。
というのは、高学年で習う漢字のほとんどは1〜3年生で習った字が組み合わさったものばかりだからです。
先に挙げた4字も、「羊」を除けば1~2年生で習った字で何度も書いてきた部品ばかり。
高学年で多くの子どもが間違える、書けない漢字も部品に分解すれば、低学年ですでに習った字、これまで何度も書いてきた字の組み合わせば、とても書きやすく、覚えやすくなります。
道村静江
これは難しい漢字に限ったことではなく、4~6年で習う字の58%は1~2年生で習った字の組み合わせ、82%は1〜3年生で習った字の組み合わせで書ける字なのです。
さらに、中学校で習う1,110字の795字(72%)も1~3年生で習う字の組み合わせで書けてしまう字です。
(以上、ミチムラ式漢字学習法調べ)
下の表をご覧いただくとわかるように、4年生以上で習う漢字のほとんどが1〜3年生の漢字に使われている部品の組み合わせで書けます。
これがミチムラ式で漢字学習に取り組むと、高学年や中学校の漢字学習が劇的にラクになる理由です。
漢字が苦手な子どもの場合
高学年で漢字テストの点数が50点を下回るような場合は、まずは3年生までに習った漢字を復習しましょう。
その理由は上記の通り、3年生までの漢字がクリアできれば4年生以上の漢字も簡単にクリアできるようになるからです。
1年生の漢字は、漢字が苦手でも多くの子どもが書けます。そして5年生や6年生で1年生の漢字を復習するのは、さすがにプライドが傷つくかもしれません。
まずは2年生や3年生の漢字で書けない字、忘れてしまった字を復習するとよいでしょう。
そして、2年生や3年生の漢字に登場する部品の名前を覚えましょう。
ごちゃごちゃしてカタチがはっきりしない部分でも、部品の名前を覚えることでそれぞれ似たカタチ同士を言葉で区別できるようになります。
これらの部品は4年生以上で習う漢字にも繰り返し使われているものばかりです。
新しい漢字を覚えるときでも格段に覚えやすく、そして書きやすくなるので、ぜひ名前を覚えてよく似たカタチを区別できるようになりましょう。
漢字カードを使って低学年の漢字を復習すると、漢字を部品に分解する目が養われて、部品の組み合わせで4年生以上の漢字を効率よく覚えられるようになります。
3年生までに習う字は日常生活でもよく見聞きする字ばかりです。学び直して損はありません。
現学年で習う漢字を必死に覚えようとがんばることに比べれば、復習にはそれほど多くの時間がかかりません。「急がば回れ」の気持ちで復習するのがオススメです。
道村静江
高学年の漢字テストで30点を下回るような場合、子どもは本当に困っています。漢字が極端に苦手な子ども向けの記事は下記を参考になさってください。現在の学習方法や学習環境を見直すなどしましょう。
漢字を使えるようにする
ここまで、漢字の「書き」に焦点を当てて話を進めてきました。
しかし、漢字学習で最も大事なのは「漢字を使えるようにする」ことです。
せっかく漢字一字を書けるようになっても、言葉を知らないと実際の場面で使えません。
また、低学年までに習う漢字と違って、訓読みがなくて、意味もわかりにくい抽象的な意味の漢字が増えます。
さらに、同音漢字、とくにカ行とサ行の同じ音読みがある漢字が爆発的に増えて、子どもの混乱は加速します。
そこでミチムラ式が大事にしているのが、言葉とセットで 読み方を覚えることです。
たとえば、4年生で「カン」の読み方をもつ漢字が5つ出てきます。
「官」と「管」は大人も混乱しやすい字でしょう。
「たけかんむり」を意識すればクリアできそうですが、「カン、くだ」とだけ覚えるより、「警察官のカン」、「水道管のカン」のように言葉とセットでインプットすれば、よりハッキリと覚えられます。
現在発売中の電子書籍「漢字eブック」には、こうした漢字一字を使う言葉やその言葉のイメージ写真を多く掲載しています。
5年生の漢字eブックで表現したかったことこうした言葉をたくさん知ること、そして徐々に使えるようにしていく、これが高学年に必要な漢字学習レベルです。
漢字一字を書けるようになるだけでは意味がありません。
そのためにも、すでに書ける部分の組み合わせを唱えて覚えて、書き学習はさっさとクリアしましょう。
覚えた漢字を忘れないためには
覚えた漢字を忘れないためには、最低限の反復練習は必要です。
一字だけを繰り返し書かせるような宿題はだいぶ減ってきていると思いますが、どうせ書いて練習するなら、その漢字を使う言葉を書いて練習しましょう。
そして、例文を自分で考えて書いてみましょう。
漢字ドリルや教科書に載っている例文を写すより面倒かもしれませんが、自分で考えた方が身につきます。
そして、もう1つのポイントは漢字の「なりたち」を知ることです。
漢字の「なりたち」は辞書に載っているような難しい話と思われがちです。
しかし、漢字は似たような形の字ばかりなので、ただ機械的に漢字を覚えようとすると、覚えきれない、忘れる、混乱してしまいますが、「漢字の成り立ち=部品の組み合わせの意味」なので、ミチムラ式の漢字カードや漢字eブックで示しているような部品の組み合わせを通して、背後にあるストーリーをイメージしながら漢字の理解して覚えると忘れません。
高学年で習う漢字は、旧字から変化して成り立ちがわかりにくい字もありますが、そういう字は自分の覚えやすいように勝手に話を作ってもいいと思います。
書いて覚える学習からの転換を図ろう!
高学年になっても同じ字を10回書いて練習する学習スタイルに意味はありません。
低学年でもあまり意味はありませんが、とくに漢字が苦手な子どもにとっては、頭の中が余計に混乱してしまう勉強法です。やめましょう。
何回も同じ字を書くような勉強は、何よりもつまらない、大変な思いをしてがんばったのに覚えられない、「やる意味があるのかな?」と子ども自身が疑問に思っているはずです。
そんなことよりも、漢字を部品に分解して、部品の組み合わせで漢字を覚えるコツを伝えてあげましょう。
合理的な方法で、効率よく漢字を学べることがわかれば、漢字嫌いになってしまっている子どもたちも振り向くかもしれません。
高学年で習う難しそうな漢字でも、そのほとんどが1年生や2年生の漢字の組み合わせで書けることを知ったら、ほとんどの子どもが「なんだ、簡単じゃん!」と言います。
極論を言えば、中学受験をしない限り高学年で習う漢字を書ける必要はありません。高校受験の時までに書けていれば十分です。
最近の公立高校入試では選択式の問題も増えているので、書けなくても読めて認識できればクリアできるようになっています。
書けるよりも、まずは読めることを優先しましょう。
その次は知っている言葉を増やす、使える言葉を増やすことです。
タブレットを利用した学習もオススメです。
そうは言っても、小学校教育では全字習得するのが当たり前という雰囲気があります。
漢字の読み書きが苦手な場合、クラスでも悪目立ちしやすく、不登校のきっかけになってしまったり、発達障害を疑うケースが3年生当たりから散見されますが、子どもの特性はさまざまあります。
高学年で漢字が苦手な場合は、それぞれの特性に応じた学び方、学べる環境を作ってあげましょう。
上記で説明したミチムラ式漢字学習法の覚え方以外にも、さまざまな覚え方や学習教材があります。
ひたすら書いて覚える漢字ドリルからの脱却を図って、本人の覚えやすい、取り組みやすい方法を採用してあげてください。
学習全般で、iPadなどのタブレットを利用した学習に切り替えるのもオススメです。
大切なのは学ぶこと。
文字を読み書きする過程が、その学びの本質を邪魔してしまっては本末転倒です。
入力して選択できれば、そのハードルを乗り越えるのがとても簡単になるので、ぜひ検討してみてください。
ミチムラ式漢字学習法のオススメ教材
上記記事でも紹介しているミチムラ式漢字カードはオンラインショップからお求めいただけます。
高学年で威力を発揮するミチムラ式漢字学習法
全校でミチムラ式漢字学習法に取り組んでいる学校では、クラスの平均点が高学年でも80点台が当たり前、すごいクラスは95点を超えてきます。
こうした結果が出るのは、ミチムラ式漢字学習法を取り入れた先生たちの教え方や働きかけが上手で、子どもたちが漢字の勉強を楽しんだ結果です。
しかし、その最大の理由はひたすら書かせる漢字学習をしなくなったからです。
さらに言えば、ひたすら書いて覚える勉強法ではうまく覚えられずに、取り残されていた子どもたちの漢字力が急激にアップしたことが最大の要因です。
そうでなければ、クラスの平均点が90点は超えません。
ひたすら書いて覚える漢字学習よりはるかに合理的、ラクに効率よく漢字学習に取り組めるようになるので、漢字学習に困っている子どもがいる場合は、ぜひお試しください。
ありがとう