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とにかく多くの4年生がよく間違えるのが「達」です。
どこを間違えるかというと、しんにょうの上の部分です。
ここに1本線が少ない「幸」を書いて間違える子が多いです。
どうしてそうなるかというと、3年生で「幸せ」を習うからです。
それよりも前に、2年生で習う「南」にも「幸」の下と同じ形が使われています。
だから、「達」を書く時に「土」の下に横線3本の「羊」を書くことに子どもは違和感を覚えるようです。
また、「達」を覚える時に「土」の下が「羊」だと気がつける子もほとんどいません。
ほとんどの4年生は「羊」を間違えないで書けるのに、多くの子が「達」を書き間違えるのには、こうした理由があるのです。
「達」に限らず、線が一本多い、少ない書き間違いは、小学校の漢字学習でよくある課題です。
漢字を覚えるのが苦手な子は、特にこの傾向が強いです。
こうした間違いが起こる原因は、手本を見ながら1画ずつ写し書きする、書いて覚えようとしているからです。
教科書や漢字ドリルは1画ずつの書き順が示されているので、その通りに書こうという意識が先行して全体に意識が向かない、今まで習った漢字の組み合わせだと気がつきにくいのです。
書き順を大切にし過ぎることによる弊害と言ってもよいでしょう。
また、「飲」や「始」のように部品が左右に分かれている場合は、子どもも気がつきやすいですが、「達」の右側が「土」と「羊」の組み合わせだと認識している大人も少ないです。
だから、最初に「達」を覚える時に、手本を見ながらいきなり書き始めるのではなく、「まずは部品の組み合わせで漢字をとらえるようにしよう」というのがミチムラ式漢字学習法の工夫です。
そこで、ミチムラ式漢字カードでは「達」の書き方を次のように示しました。
そして、漢字カードには1画ずつの書き順をあえて示していません。
なぜなら、「土」は1年生で習った漢字、「しんにょう」は2年生で習った「道」や「通」に使われていた部品です。そして「羊」は3年生で習った漢字です。
どの字もこれまでに何度も書いてきた(書かされてきた)はずです。
3年生までに習ったそれぞれの字が正しく書けていれば、「土、羊、しんにょう」とインプットした通りに書けば、必然的に正しい書き順で書くことになります。
1画ずつ示すと部品のかたまりに目がいかなくなってしまうので、ミチムラ式では部品のかたまりごとに示すようにしている、というのも理由の1つです。
もし、書き順に迷うことがあったり、書き間違えたりした場合は、その部分だけを復習すればOKです。教科書や漢字ドリルには、1画ずつの書き順も示されているので、かんたんに確認できるはずです。
「土」と「羊」は、さらに部品に分解できないので(分解すると線の構成になってしまう)、基本漢字としています。
そんな基本漢字と3年生までの漢字に使われている主要な部品は、小中学校で習う常用漢字の部品として繰り返し使われています。
こうした基本漢字と部品は、最初に書き方をしっかりおさえて書き慣れたらOK。
そして、分解した1つ1つの部品がすでに書けるのであれば、あとは組み合わせ方を覚えるだけです。
だから、新しく習う字を覚える時に、すでに書ける部分の書き順を1画ずつ確認しながら10回書いて覚えようとするのは無駄ですよね。
きれいな字を書けるように練習するのは構いません。
しかし、そうした努力と漢字を覚える作業は別々に行なったほうがベターです。
特に漢字を覚えるのが苦手な子にとっては、書くこと、マスを埋めることが目的になってしまって、覚えるべき字の形が頭に入らない、ぼんやりとしか記憶に残らないケースが多くあるからです。
ミチムラ式漢字カードの説明と使い方また、「達」の漢字の成り立ちは「羊」に関係しています。
だから「土、羊、しんにょう」と覚えるのは、部品を組み合わせて作られている漢字の本質に沿った覚え方でもあります。
これらのことを意識せずに、「達」を覚えるときに1画ずつ書き順を確認するのは無駄な作業です。冒頭で示したような書き間違いをする原因にもなりえます。
電子書籍のミチムラ式漢字eブックでは、「達」の解説と成り立ちを次のように示しています。
「達」を覚える時に、注意してほしいポイントがもう1つあります。
それは「友達」という言葉です。
学校でも、ふだんの生活でも、「友達」はよく使う言葉だと思います。
しかし、この「ともだち」は特別な読み方です。小学生が使う漢字辞典にもそう書かれています。
「ダチ・タチ」は常用外の読み方で、小学生にまず覚えてほしい「達」の読み方は「タツ」です。
電子書籍のミチムラ式漢字eブックでは、次のように説明しています。
漢字を覚えるのが苦手な傾向がある場合、何度も書いているうちに頭の中が混乱しやすいです。
覚えられないからといって、ひたすら書かせたりしていると、そのうち面倒になったり苦痛に感じて、漢字嫌い、勉強嫌いにさせてしまうデメリットも大きいです。
読み書きが苦手な特性、読み書き障害や発達障害と診断されているような場合は、なおさらです。
そうした子たちに10回書いて覚えさせようとするのは、全く無意味です。今すぐやめましょう。
漢字を覚えさせようと必死になるあまり、漢字嫌い、勉強嫌いにさせているケースが多く見られるので、注意してください。
その代わりに、ミチムラ式漢字カードや電子書籍の漢字eブックで示しているように、読み方と書き方(部品の組み合わせ方)をセットで「発達のタツ、土、羊、しんにょう」と唱えて覚えるといいですよ。
冒頭にも書きましたが、手本を見ながらいきなり書いて覚えようとするのはNGです。
まずは読み方と書き方を唱えて覚えて、頭に「達」の字が浮かぶようになったら、初めて鉛筆を使って書いてみることをオススメしています。
3年生までの漢字がしっかり入っていたら、ほとんどの子が一発で書けます。10回も書いて練習する必要はありません。
書く練習が必要な場合は、同じ字を何度も書くより、達人、発達、配達、上達など、「達」を使う言葉を書いた方がいいです。
せっかく漢字一字を書けるようになっても、どんな言葉に使う字なのかを知らないと意味がありませんから。
加えて、「漢字はこういうふうに作られているんだよ」と成り立ちに興味を持たせたり(自分たちで勝手にストーリーを作ってもいい)、論理的な説明や彼らが納得できる合理的な形で学習を進めるのがよいと思います。
ミチムラ式漢字学習法の考え方こちらは、間違えやすいというより、覚えにくい字について、ミチムラ式の覚え方、取り組み方について解説しています。
4年生が覚えにくい苦手な字とその覚え方「観」ミチムラ式漢字カードは、子どものてのひらにおさまるコンパクトなサイズに、覚えてほしい必要最低限のことだけをシンプルに記載しています。
漢字一字をできるだけ簡単に覚えたい、さっと復習したい場面で便利に活用いただけると思います。
ミチムラ式漢字カードについて電子書籍の漢字eブックでは、読み方と書き方の音声を再生できるので、音声にあわせて読み方と書き方を声に出して練習できます。
漢字辞典にものっていない詳しい解説を1字ずつに書いていますし、子どもが楽しんで言葉の世界を広げられるように、覚える字を使った言葉をイメージ写真と一緒に掲載するようにしました。
こちらは、漢字学習に必要な要素、漢字が苦手でも覚えやすくなる手立てなど、私たちが子どもたちに伝えたいことを全て盛り込んだので、ぜひご活用ください。
ミチムラ式 漢字eブック(電子書籍)のご案内ミチムラ式漢字カード、漢字eブックともに、一般の書店では販売していません。弊社オンラインショップのみの取り扱いとなります。ご了承ください。