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子どもが漢字を覚えられない理由と支援・サポート方法

 子どもの個性は様々です。身体が大きい子もいれば、小さい子もいます。運動が得意な子もいれば、不得意な子もいます。子どもに限らず、人にはそれぞれに特徴があり、得意なことがあれば不得意なことがあります。

 そして、読み書きが得意な子もいれば、そうでない子もいます。しかし読み書きの能力の違いが意識されることは少ない気がします。とくに漢字学習に関しては、努力が足りない、何回も書いて覚えよう、もっとがんばれ、といった精神論に近い指導で終わってしまうケースは様々な場面で見受けられます。

 また、海外で暮らす日本人家族の子どもも同様に漢字を覚えることに苦労していますが、これはまた別の記事で紹介します。今回は特性があるために漢字の学習に苦労している子どもにスポットを当てて書きたいと思います。

漢字が苦手な理由は人それぞれ

 多くの人にとって、文字や文章を読み書きができるのは当たり前だと思うかもしれません。ミチムラ式漢字学習法の原点である全盲や弱視などの視覚障害者にとってはもちろん当たり前のことではありませんが、一見しただけではわからないけれども読み書きが苦手、不得意だという人は多く存在します。

 近年になって、こうした読み書きに苦手さを抱える人たちの存在が注目されるようになりました。発達障害ディスレクシアという言葉も当たり前に使われるようになっています。

 読み書きに極端な苦手さを持つ子どもたちへの支援は近年になって急速に充実しつつあり、漢字が苦手な子どもたちは次のような特徴を持っていることがわかってきました。

  • 音と文字の結びつきが弱い
  • 文字の形を思い出すのが苦手
  • 数の抽象概念が理解できない
  • 一時的な記憶システムがうまくはたらかない
  • 手先がとても不器用
  • 情報の処理速度が極端に遅い
  • 眼球運動がスムーズにいかない

 こうした特徴や傾向は、学術的・医学的な研究から発表されている一例です。ひと口に漢字が苦手といっても、その理由や原因は人それぞれに違うことがわかると思います。

 しかし、専門的な医療機関などで診断を受けて、上記のような特徴を診断結果として示されても、多くの人にはピンとこないでしょう。さらに「こうした苦手さを踏まえて解決策を」と言われても、同じ経験がない学校の先生や保護者の方たちが対応や対策を考えるのは難しいのが現実です。

 それでも自分の子どもや担当する子どもの障害名を知って、こうした傾向があるからこの障害種別が当てはまるのでは、と予想を立てて情報を集めたり、その対応方針を専門書や研修会で学んだりしてみても、結局のところ具体的にどうすればよいのか? と途方に暮れる方は多いはずです。

道村静江

 小学校の特別支援学級だけでなく、通常学級にも「発達障害」や「読み書き障害」などの特徴をもち、漢字を覚えることが苦手な子どもたちは多くいます。

心の中では「できるようになりたい」と思っている

 特性があって漢字が苦手な子どもはもちろんですが、特性の有無に関係なく、漢字が書けない、使おうとしない子どもは多くいます。

 高学年で理屈っぽい立派なことをしゃべるのに、作文を書かせるとひらがなばかりの文章で2年生の漢字もまともに使わない、しかもミミズがはったような読みにくい字を書く子がいます。

 内容はそれなりのことを書いているのに、なんてもったいないと思ってしまいますが、そんな漢字が苦手な子どもたちは、通常のやり方が合わないことを理由に努力ができない勉強が苦手と判断されてしまいがちです。

 大人の目から見ると、そんな彼らにはやる気がなく、勉強すること自体をあきらめているように見えるかもしれません。なかには授業を妨害したり、問題行動に発展してしまうケースもあるでしょう。

 しかし、そうではありません。漢字の読み書きが苦手でも賢い子は多くいます。彼らも心の中では、もっと勉強がしたい! できるようになりたい! 漢字を書けるようになりたい! と思っています。だけど、どうやってもうまくいかない。子どもながらにそうしたジレンマを抱えて悩んでいるのです。

支援・サポートのあり方

 まずはじめに、先生や保護者、私たち大人は、通常のものさしでは推し測れない苦手さを抱えた子どもがいるのだと強く認識しましょう。

 結局のところ、彼らの認知の仕方や視覚的なとらえ方、不器用さなど、本当の部分で彼らが抱える苦手さを理解してあげることはできません。こうした子たちは生まれたときから通常とは違う感覚で世界を認識してきたのです。まずはその違いをしっかり意識することが大切です。

 そして、彼らに合うやり方はなんだろう? と考えることです。先生自身の過去の経験から導き出される方法は通用しません。なぜなら、ほとんどの先生は子どものときに同じような理由で勉強に困った経験がほとんどないからです。基本的に先生たちは勉強という面ではパーフェクトな集団なのです。

 定番のやり方や固定観念を押しつけるのではなく、彼らに合うもっとよい方法はないかと、頭を柔らかくして必死に考えてあげましょう。こうした姿勢を持つことが寄り添うことであり、「支援する・サポートする」という本来のあり方につながっていきます。

道村静江

 長く盲学校で教えてきましたが、様々に事象や身近に起こっていることを全盲の子どもたちがどのように認識して、頭のなかでどのようにイメージしているのか、本当のところはわかりません。

子どもの様子をとことん観察しよう

 まずは、そうした漢字が苦手な子どもたちが漢字を書く様子をよく観察してみましょう。テストの解答用紙をチェックしているだけでは、わからないことが多くあります。

  1. 横の手本を何度も見ながらやっと一字を完成させている
  2. 「たて、たて、よこ・・・」と線の構成で認識しようとしている
  3. 一字の形を思い出すのに時間がかかる
  4. 何度も試し書きしている

 1.2.のケースでは、何回書いて練習しても書けるようになりません。テストやその場では書けても、そのうち似たような字と混乱して書けなくなります。

 3.のケースでは、頑張るのは漢字テストの時だけで、普段の文章に漢字を使おうとはしません。時間のかかる漢字より、ひらがなで書く方が楽なのです。

 4.のケースは、多くの人も経験があることだと思います。書いてみて、「あれ? なんか違うぞ。これかなあ・・・、いやこっちかなあ・・・、こっちかも」と、漢字をぼんやりと認識している子たちも漢字を積極的に使おうとしません。

 さらに漢字が極端に苦手な子どもたちには、次のような特徴が見られます。

  • がんばるけれど手先が不器用なせいでバランスの悪い字になってしまう
  • 手本と同じように書けていないことに我慢できずに「もう書かない」と開き直る
  • 線の本数や長さをうまくとらえられずに、なんとなくのイメージで書いて間違える
  • 書き写す時に目にとまった部分から書き始めて書き順はまったく無視
  • まるで絵を描くように漢字を書く

 上記のような特徴には当てはまらないけれど、何回書いても覚えられないという子もいます。そうした子どもは専門家によってはワーキングメモリが弱いと診断されるかもしれません。

 しかし、そうした子どものなかにも電車やスポーツ、アニメの話など、自分の好きなことこだわりの強い情報はこと細かに覚えているというケースはあります。

 そうしたケースでは「ワーキングメモリが弱い」のではなく、漢字に対して興味がないだけの可能性もあります。単にペーパーテストに嫌気がさしているだけかもしれません。

道村静江

 まずは、目の前の子どもの状況や様子をつぶさに観察し、特徴を知り、つまずきの原因を探りましょう。そして、彼らの思考回路に寄り添って、何とかならないかと必死に考えてあげること。具体的な解決策はそうしたところからしか見えてこないと私は思います。

書いて覚える漢字学習からの転換を図る

 上記のような傾向を持つ子どもたちに通常の教え方や書いて覚える漢字学習は通用しません。書く練習が少ないからだと、宿題をたくさん出しても決して問題は解消されません

 解消されないどころか、ますます漢字が嫌いになる、勉強が嫌いになる、といった悪循環に陥る可能性が大きいです。

 そこで書いて覚える漢字学習からの転換を図りましょう。そうはいっても、やはり“漢字は書いて覚えるしかない”と、結局は一般的な学習に終始してしまうケースも多くあります。

 なぜなら、先生も含めてほとんどの日本人は漢字は書いて覚えるものと思っているし、書いて覚えた経験しかないからです。書かせずに、鉛筆を使わないで漢字を教える方法を先生を含めてほとんどの日本人が知らないのです。

 そんなときは、手前味噌ですがミチムラ式漢字カードをぜひお試しください。一般の漢字学習方法とは違い、鉛筆で書かない、1画ずつではなく部品のかたまりで漢字をとらえる、口に出して漢字を唱えて覚える、といった通常の覚え方とは異なる要素がもりだくさん。しかも中学校までの漢字を徹底的に調べて効率的にラクに学べるように系統立てた構成になっています。

ミチムラ式漢字学習法の特徴

個に合った学習方法を工夫・選択しよう

 漢字を覚えられない、苦手な子どもを指導する場合は、子どもが何に困っていてどこでつまずいているのか、彼らの言動も踏まえてよく観察しましょう。

 いったいどこで違っているのか、どこまでわかっていて、何がわからないのかなどを彼らの思考回路にそって探ってあげることが必要です。

 困っていることやつまずいている部分がなんとなくつかめてきたら、次はどのように示そうか、どんな説明を加えたら理解できるようになるのか、とことん考えましょう。そうすれば解決方法もおのずと見えてくるはずです。

 そして彼らの困りごとを解決してくれる学習教材や学習ツールを探しましょう。ひと昔前と比べて、現在は様々な学習教材が手に入るし、ネット上でも多くの情報が手に入ります。

 個に合った学習教材を選ぶだけでなく、学習環境や学習スタイルについても工夫する余地は多くあるでしょう。

 たとえば、視覚過敏で一般的な紙に印刷された文字が読みにくい場合は、部屋を暗くしたり、色つきの紙に印刷してあげるだけで読みやすくなることがあります。彼らが読みやすい書体を選んで印刷してあげるだけでも、読みにくさの負担をかなり軽減できる場合があります。

一般的に横書きの明朝体を読みにくいと感じる人は多くいます。書体を変えたり、文字のサイズや行間を広げるなどの工夫することで読みにくさはかなり軽減されます。

 こうした読み書きが苦手な子ども向けの支援ツールやプログラムは様々な専門書で紹介されているので、一度手に取って読んでいただくのがオススメです。

参考 専門書の一例みんなでつなぐ読み書き支援プログラム

 鉛筆を使わない学習やタブレットなどを活用した学習スタイルへ移行するのも有効です。公平性を理由にタブレット利用を許可しない学校もあるようですが、合理的な配慮は法律に定められた権利であり、学校設置者には対応すべき義務があります。教育委員会のしかるべき窓口で相談しましょう。

参考 多くの情報が掲載されている教育機関のサイト福井県特別支援教育センター

道村静江

 ただし、教材を与えて「やっておきなさい」で終わりにしてしまったり、手を変え品を変え、新しい教材を次々と与えたりするのはNGです。しっかりと子どもの様子を観察したうえで、その子が何に困っていて、何を大事にするべきかを見極め、その子に合うと思った方法を採用したら最低限の我慢と努力は必要です。

自分の得意な覚え方・学習スタイルを確立する

 何はともあれ、通常の教え方や学び方が通用しない子どもたちに周りと同じ方法を押し付けるのはナンセンスです。そうしたことを繰り返していると子どもは自信を失ってしまうし、周りと同じようにしなければと思い込んで、大人になっても同じことで苦労する可能性があります。

 小学生のうちから自分に合う学び方を探して、次第に自分なりのオリジナルの学習スタイルを身につけて学びやすくなるように導いてあげたほうが、よほど彼らのためになるでしょう。

 ミチムラ式漢字学習法以外にもいろいろと工夫された市販の漢字教材はあります。すべての子どもに通用する正解や万能な教材はありませんが、その子に合う教え方や覚え方、本人が気に入る、やる気が出る勉強方法や学習スタイルは何か、既成概念にとらわれずに柔軟な発想で取り入れてみましょう。

 苦手な漢字を克服するための対策は、早ければ早いほど効果的です。


 小学生にとって漢字は学習の基礎土台となるものです。漢字が苦手だからといって、簡単にあきらめるわけにはいきません。漢字の読み書きが苦手なままだと、国語以外の教科でも学習の遅れが生じかねません。

 だからこそ多くの先生は漢字学習に熱心に取り組みますが、その熱心さや厳しい指導が子どもにとっては逆効果になることもあります。一例として下記の記事を参考になさってください。

漢字の「とめ・はね・はらい」はどこまで気をつけるべき?

 そして、通常の教え方が通用しないときには、漢字が苦手な子でも取り組みやすいミチムラ式漢字学習法の教材(漢字カード)をひとつの選択肢としてぜひご検討ください。漢字カードは下記のオンラインショップからご注文いただけます。

ミチムラ式漢字学習法オンラインショップ
ミチムラ式漢字カード

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