“学ぶこと”は本来楽しいものです。「わかった喜び・できた自信」を感じたら、さらなる知的好奇心が生まれて、自ら学びたいと意欲が湧くはずです。
そして、そんな子どもに育てるのが本来あるべき教育の姿だと思います。
読み書きの習得はすべての学びの土台、基礎となるものです。しかし、多くの子どもたちが漢字の学習につまずいている現実があります。この現実をなんとかしたいと試行錯誤を重ねて考案したのがミチムラ式漢字学習法です。
目次
1.読み書きが苦手でも取り組みやすい
「ミチムラ式漢字学習法」は盲学校での漢字学習がベースになっています。
目が見えない、文字を手で書けない子どもでも漢字を学べるように考えた学び方を、漢字が苦手な子どもたちのことをとことん考えて、一般の小学生でも学びやすく、楽しんで取り組めるように改良を加えた学習法です。



道村静江
2.部品(パーツ)の組み合わせで漢字を覚える
漢字には同じ部分が何度も繰り返し登場することを多くの日本人が知っています。
これらの部分を徹底的に調べあげて分析し(下図参照)、これらの部品(パーツ)を再構築して中学校までに習う全ての常用漢字(2,136字)を覚えやすくしたことがミチムラ式漢字学習法の大きな特徴です。



漢字はそれぞれに意味がある部品(パーツ)が組み合わさってできています。上記の一覧表に示した部品は適当に選んだものではなく、すべての漢字をきちんと調べた上で漢字の本質に基づいた分解になっています。
そのため、部品の組み合わせで漢字をとらえられるようになると、漢字同志の意味がつながって覚えやすくなり、そして忘れません。さらに、子どもが(大人でも)迷いがちな細かな部分の書き間違いが驚くほど激減します。
道村静江



3.高学年(4年生)以降の学習がラクになる
漢字学習は高学年になるほど大変だと思っていませんか?
しかし、ミチムラ式漢字学習法で取り組めば4年生以降の学習がとても簡単になります。その理由は下図の通りです。
上の一覧表を各学年の配当漢字に当てはめると、4年生以降で覚える新しい形はほとんどないことがわかると思います。






道村静江



4.口に出して唱えて覚える
「ミチムラ式」は漢字の書き方を唱えて覚えます。
何も見ずに部品の組み合わせ方を言えるようになったら、子どもたちの頭の中に漢字が浮かんでいるはずです。書けるかどうか、1度だけ書いて確認してみましょう。



道村静江
紙と鉛筆を使わなくても漢字学習に取り組めるので、子どもが覚えることに集中しやすいです。
とくに読み書きが苦手な子どもにとっては、鉛筆を使って書いて覚えるよりはるかに取り組みやすくて覚えやすいはずです。
5.何度も書かない、書かせない
漢字は「書いて覚えるもの」「繰り返し書くことで手が覚える」というのが当たり前、誰もがそう思っています。しかし「ミチムラ式漢字学習法」は違います。本当に唱えただけで書けるようになるの? と疑問に思う方も多いでしょうが、それが書けるようになるんです。



道村静江
6.「読める」ことを大切に
漢字学習で最も大切なのは漢字を読めることです。「書ける」ことではありません。とくに同音異字が山ほどある「音読み」は、学年が上がるにつれて混乱する子どもが増えます。
そこで「ミチムラ式漢字カード」には漢字の音読みに代表的な言葉をセットにして提示しています。



道村静江
7.読めて「使える」ところまで導く
漢字学習の最終目的は、言葉を増やして漢字を使えるようになることです。漢字一字を書けるようになって満足していてはいけません。
せっかく書けるようになった漢字が身の回りでどんな言葉に使われているかを探したり、言葉の世界を広げる学習までたどり着くのが理想的です。そのために、漢字の書き学習は「部品の組み合わせ」を唱える学習法で効率的にクリアしていきましょう。



道村静江
さらに、漢字を「使える」ようになるためには、一字が表す意味を知ることも大切。そのためには部品の意味やなりたちを知って、部品の組み合わせが何を表そうとしているのかを知ろうとする、興味を持たせることが大事です。
こうしたところから、子どもの知的好奇心を刺激してあげると、これまで単調でつまらなかった漢字の勉強がおもしろい、楽しい学習へ変わっていきます。
道村静江
しかし、本当に書いて覚えさせる指導法が適しているのでしょうか? 子どもたちはその学習法を喜んで受け入れているでしょうか? 子どもたちの意欲や関心との間には大きな差があるはずです。書かずに覚えられる漢字学習法がある、ということをぜひ知ってほしいと思います。