漢字は読めて、使えることが大事|4〜6年生

漢字学習のゴールは「書ける」ことではありません。一字の意味を知り、どんな言葉があるかを知って漢字を「使える」ようになることです。「書ける」ことを重視しすぎて、漢字以外にも学習全般を邪魔してしまっては本末転倒。まずは「読める」ことを重視、さらに「使える」ことを目指しましょう。

漢字学習の最終目標は「読めて使える」ことです。

そのために必要なのは言葉をたくさん知って「語彙を増やす」ことです。

決して「書けるようにする」ためではありません。

「読めて」の部分は、下記の記事も参考にしてください。

漢字学習は読めることが最優先|4〜6年生 読めるための復活方法|4〜6年生

漢字を「読める」ことの重要性は誰でもわかっていると思います。

だから、決して読めるようになるための指導や学習を軽く考えてはいけません。

「漢字を使える」とはどういうことか

「漢字を使える」とは「漢字を即座に思い出して、正確に使える」ということです。

もちろん「漢字一字の読み書きをマスターする」ことが前提ですが、「書ける」ことを重視するあまり「読める」ことや「言葉を増やす」ための学習が疎かになってしまうのがいけません。

そもそも漢字は構成がよく似ていて、意味や使われ方が似ているもの、同音異字がたくさんあります。

そこで大切になってくるのは下記の2点です。

  1. 組み合わせの違いを見極められること(認識)
  2. 意味や使われる場面を知って適切な漢字を選べること(選択)

つまり、「使うべき漢字はこれだ!」と「漢字を認識して選択できる力」が必要なのです。

スマホやタブレット、PCの使用が当たり前の現代では、端末に読み方を入力すれば候補の漢字群がズラッと並びます。

そこで、似た漢字群の中から使いたい漢字はこれだと認識して選択できれば、容易に文章が書ける時代になりました。

変換の精度もどんどん上がっていて、文章を丸ごと入力すればほぼ確実に正しい漢字を自動的に選択してくれます。

大学に進学したり、社会に出たら、漢字を自筆する機会は極端に減ります。

つまり、漢字を「書く」という作業は「使える」ことの一つの要素に過ぎないのです。

学校教育では漢字を書けることが第一義として指導され、書けることで評価を受けています。

しかし、時代は急速に変わっているので、漢字学習もそろそろ「使える」ことを評価する方向に転換されるべきだと考えます。

ということは、書けるようになるための学習は必要ないと思う方がいるかもしれませんが、そうではありません。

雑多な漢字を見たときに、細かい部分や組み合わせの差異で漢字を区別できるようになるために、部品の組み合わせで漢字を認識、正確にとらえられるようにすることが重要なのです。

「穫・獲」を使い分けられるか

たとえば中学で習う、音読みがどちらも「カク」の「穫・獲」は、へんに使われている部品がちがうだけです。

しかもそれぞれに「収穫」と「収獲」という言葉が存在するので、混同して区別できていない人もいます。

しかし、「けものへん」と「のぎへん」を見分けて、部品の表す意味を知っていれば使い分けられます。

「のぎへん」は稲を表す部品なので、作物を「収穫」するときに使います。

「けものへん」は犬が変化した部品なので、狩猟で獲った獲物を「収獲」するときに使います。

そして、何かの成果を挙げたときの「獲得」に使うのは「けものへん」の「獲」です。

中学校の漢字も「ミチムラ式」がオススメな理由

どちらも手書きする機会は日常生活でほとんどありません。

しかし、こうした細かい部分の違いを区別できることは依然として重要です。

こうした細かいちがいを区別するためには「書ける」ための学習が必要になってきますが、部品の組み合わせで覚えるミチムラ式なら効率よくクリアしていけるはずです。

もしも、書くことが苦手な特性がある場合は、パソコンやタブレットなどのICT機器を積極的に導入したらよいと思います。

しかし、端末を道具として使いこなすためにも、漢字を「読める」ことと「漢字を認識して選択できる力」は依然として必要です。

読めて、使える語彙を増やす

「語彙を増やす」ことの重要性は、いまさら言うまでもないでしょう。

しかし、残念ながら学校教育の中で語彙を増やすための指導に割ける時間はほとんどないのが現実です。

だからといって、決して学校を責めないでください。

昔とちがって、今の先生たちはやることがとにかくたくさんあって、忙しいのです。

だから、漢字学習や語彙を増やす学習は自学自習の分野だと思っていたほうがよいと思います。

日常生活を通して、個人レベルで言葉に興味・関心をもち、多くの言葉に触れていくことを心がけましょう。

文字や漢字を「読む」「使う」「語彙」は密接につながっています。

とくに語彙力がないと、文章を作ることに苦労するので自ずと表現力も低下します。

そもそも読めない、言葉を知らない状態では、ICT機器の入力もおぼつかず、漢字を「使う」ところまで発展できません。

だから、ミチムラ式では「読む」「使う」「語彙」の三点に重点を置いた教材作りを心がけています。

漢字学習は、日本語を使いこなせるために大切な学習分野です。

だから、ひたすら書かせて、子どもを漢字嫌いにさせている場合ではありません。

一生使う母語である日本語をきちんと使えるようにするためにも、下記の目標を忘れないようにしましょう。

  1. 書けることが漢字学習のゴールではない
  2. 読めて、使える語彙を増やす

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