各学年で習った字をバラバラに覚えるより、既習漢字を思い出しながら「仲間の漢字」と関連づける学習が有効です。漢字は部品を通して形や書き方がつながり、意味や音までつながることが多いです。何かのしくみを理解して、整理して覚えるコツを身につけることは漢字以外にも役立ちます。
分解・合成の視点でとらえられるようになれば、4年生以降に習う漢字の組み合わせは簡単に思えるものが多いです。
3年生までの「部品」を覚えてから高学年の漢字に接すると、簡単なことを実感できると思います。
しかし、漢字学習では、その学年の新出漢字を覚えることに意識が向きすぎています。
加えて、現学年の新出漢字を必死に覚えても、その漢字はたまに使われる程度で、多くは下学年の漢字が使われています。
すでに習った漢字や書ける部品が多くあるはずなのに、いざ書こうとすると思い浮かばないので、漢字を使いこなすまでに至りません。
高学年で漢字を覚えるのが苦手な子は、漢字一字を丸暗記しようとしているケースが多いです。
しかし、丸暗記するのは限界があるし、忘れるのも早いです。
テストでは書けたとしても、普段使いできるようにはなかなかなりません。
そこで、既習漢字を思い出しながら、漢字を整理して覚える学習が有効です。
仲間の漢字を確認する
新出漢字を覚えるときに、その漢字に使われているパーツがどの漢字に使われているか、同じ音読みの漢字にどんなものがあるのかを結びつけましょう。
部品の意味を知る
漢字は部品を通して形や意味がつながっています。部品のつながりで漢字をグループ化しながら、既習漢字にも触れていくと、復習しながら学習を進めることができます。
4年生〜6年生で習う漢字の覚え方・取り組み方・教え方ミチムラ式では漢字がつながっていることを意識した教材作りをしています。
部品の意味や同じ部品をもつ仲間の漢字は、各学年の部品カードにも示していますが、「漢字eブック」にはそれらのデータを余すところなく示しています。
アナログな方法で漢字をつなげる学習をする場合は、教科書の巻末にある既習漢字の一覧表が役に立ちます。
同じ部品がある漢字はどれだ? と見つけたり、同じ音読みの漢字はどれだ? と探してみましょう。
巻末の一覧表は音読み順になっているので、同音漢字を探すのは意外とラクです。
部品(パーツ)の意味を知ると漢字が覚えやすくなるさらに、意味がある部品が組み合わさって、漢字の意味が作られていることを理解できるようになりましょう。
新出漢字を覚えるときに、部品の意味や組み合わせた理由を成り立ちなどから知るのは、漢字の本質を知る学習になります。
「漢字カードplus」と「漢字eブック」にイメージ写真付きで成り立ちを示しているので、ぜひ参考にしてください。
5年生の漢字eブックで表現したかったこと昔の人は何を表したいからその漢字を作り、その後長い歴史の中でどんな使われ方をしてきたのかを考えながら学習を進めると、漢字の世界は実におもしろく、世界でたった1つの表意文字のおもしろさを感じ取れると思います。
丸暗記するのとちがって、忘れにくいし、忘れても思い出しやすいです。
そして、覚えた漢字を使う言葉も理解して覚えられるようになります。
ここまできたら、もうミニ漢字博士です。
漢字学習の最終目標は「読めて使えること」、書けるようになった言葉をたくさん知ることが大切なのです。
漢字学習は与えられた課題をこなすのではなく、自分の興味をかき立てながら、自分のやり方でどんどん進められる自主的な学習になりえます。
小学生の学習の基礎である漢字を通してこうした学び方ができるようになると、漢字以外の全ての教科学習にも役立ちます。