高学年で「漢字が苦手」な場合は「読める」ことと「書ける」ことを分けて取り組んでみましょう。難しいイメージがある高学年の漢字も、使う部品は3年生までに出てきたものばかりなので、コツをつかめば「書き」をクリアするのは意外と簡単。「読める・言葉を使える」学習に力を入れましょう。
漢字学習というと「読み書きを同時に覚える」のが定番の方法だと思います。
漢字テストもどれだけ書けるかを測るものがほとんどです。
まるで、書けることが絶対条件のように学習しているケースが多いと思います。
それは、「読める」ようになることはそんなに大変ではない、何度か繰り返せば容易に覚えられると、思っている人が多いからです。
すでに読めるようになっている大人や先生は、どうやって文字を読めるようになったかを忘れているので、授業でもどれだけ「読める」かを確認する機会はとても少ないのが現状です。
だから、漢字が覚えるのが苦手、読むのが苦手なケースでは、漢字テストの点数に一喜一憂するのではなく、「読める力」と「書ける力」を分けて把握することが必要です。
そして、読みと書きを同時進行でインプットするのが負担になっている場合もあります。
その場合は、「読み」と「書き」を分けて、一歩ずつスモールステップで取り組むのが効果的です。
- まずは漢字学習で最も大切な「読める」ことが最優先
- その次は、漢字の意味と言葉を知って、言葉の世界を広げる
- 「書ける」ようにするのは一番最後でOK
そして、「読めるチカラ」と「書けるチカラ」を伸ばすためには、それぞれどんな所が苦手なのかを詳しく探りましょう。
原因がハッキリしないと、有効な対策を立てることも難しいからです。
「うちの子は漢字が読めなくて…」と相談されることがよくあります。
「読めない」の一言で済ませずに、次のようなことを観察してみましょう。
- 二字熟語(漢語)が読めない
- ひらがなの連続が読めない
- 言葉のまとまり(文節)がとらえにくい
- 助詞や助動詞をあいまいに処理する
- 行を飛ばして読んでしまう
- 一字ずつの逐次読みで速く読めない
もしも、後半の事例に当てはまる場合は、文字の見え方(視認知や空間認知)などの初歩的なところに問題を抱えているケースがあります。その場合は、専門家につなげて改善策を考えるのが有効です。
一方で、冒頭の二字漢語が読めないケースは実際にとても多いです。
これは漢字の読みの習得、とくに音読みの習得に課題がある場合がほとんどなので、学習の仕方を少し変えるだけでクリアできるケースも多いです。
詳しくは「読めるための復活法」の記事も参考にしてください。
テストの結果を見て、多くの大人が「うちの子は書けない」と言います。
これも一言で済ませないで、どんなふうに書けないのかを探りましょう。
- 全く思い出せずに空欄
- ぼんやり思い浮かんでいるが、すぐに書けない
- 漢字のある部分がまちがっている
- 似た字を書くが、線の数やつながり、点の有無などをまちがえる
- 同音異字を当てはめて、適切な漢字を選べない
上記の各項目は漢字テストのあるあるです。
そして、まちがえやすいパターンによって、それぞれの原因に合った対策を講じるのが近道です。
原因を探らずに、やみくもに書く練習を増やしたところで改善はむずかしく、むしろ遠回りをしているケースも散見されます。
また、本人も原因はわかっていないので、なんか違うと思いながら取り組んでみても結果が出ない、そして「勉強が苦手だ」「勉強なんか嫌い」となるのが最悪のケースです。
「書けない」「読めない」の一言で済ませずに、原因を把握して、その原因に合った対策を講じましょう。
ハッキリした原因がわからずに、こうかな?ああかな?と想像するしかない場合もあります。
しかし、ただやみくもに練習するのではなく、原因を探ろうと心がけることが大切です。